キッズリターン

 

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 あの事件のあと、復帰第一作目ということになるわけなんですね。

今となってはあまり実感はないのですが、北野監督作品はコメディはいまひとつ失敗していて、バイオレンス作品は批評家の評価は高いものの、日本映画ファンはあまりバイオレンス作品が好きではないということもあって、興行収入的には苦戦していたそうです。

そういう事情もあって、北野武本人の出演なし、バイオレンスは控えめ、その割にコメディでもないと北野作品としては特異な立ち位置にある作品と言えます。

図らずもボクシングの才能があったためにボクサーの道を進むシンジと、普通で居られないがためにヤクザの道へと進むマサル。どちらも才能故に頭角を現しますが、それぞれの世界のよどみに足をとられて挫折してしまいます。そして伝説となった有名なラストシーンへ繋がる。

この映画自体がいろんなしがらみから生まれた制約だらけの映画のはずなのですが、新人二人を主演に立てての迫力あるボクシングシーンなど過激なバイオレンスを封印した故のおもしろさが出ているかと思います。

CSの北野武劇場でみたので、リバイバルのメイキングみたいなのがあとにあったのですが、主演の一人である金子賢が20年近くたって、登場してなんとなく映画の役と重なるような人生の紆余曲折と、今の風貌が重なって興味深かったですね。

あと当時はホモソーシャル的な盛り上がりがあったとのことなんですがそうなんでしょうか。北野作品に女が出てこないなんて当時でももうわかってそうなもんですが。