叙述トリックは叙述トリックであること自体を明かしてしまってはいけないと言う前提に立ち向かう意欲作。すべての短編に叙述トリックが仕込まれているということを宣言し、なお読者を驚かせられるかという挑戦。
- ちゃんと流す神様
トイレのつまりを人知れずなおした神様は誰か・・・と言うお話。
いろいろ考えなければいけない要素が多いということと、露骨なミスリードに引っかかったこともあってまったくわかりませんでした。
わからなかったからいうわけでもないですけど、これなんとなく良い話っぽく落としていますけど、これ推理可能かどうか以前に実行可能ですかね?構造的にちょっと無理なんじゃないかなとか、犯人がそれを実行しなければならないと判断した状況が想定できないとかいろいろ疑問が出る話でした。
当たり前と言えば当たり前ですけど、この作中の事件に該当することって作者たぶんテストとかしてないですよね。
- 背中合わせの恋人
これはさすがにわかった。むしろこれで良いの?と思ったくらい。あと勘違いかもしれないですけど、66ページの記述「僕は四月四日生まれで、妹は三月二十八日」と言うのはこれ逆じゃないですかね?もしミスならこの短編集だと致命的では。
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閉じられた三人と二人
えっそれだけ?これも推理可能になってるかなあ。
- なんとなく買った本の結末
森博嗣の言うところの「逆トリック」なわけですけど、これもやっぱりトリックとして成立していないのでは。作中のガジェットを使わないでも同様のトリックを実施できるわけですから(該当のガジェットを使用しない同様のトリックを見たことある気がする)、おかしいですよね。
- 貧乏荘の怪事件
最高にくだらないのだけど、これは笑った。
読者への挑戦状のヒント通りにやっていれば必ずわかるというところも好感が持てる。
- ニッポンを背負うこけし
いやこれ不可能でしょ。特別な訓練を受けた人間って設定ならまだしもそういう設定はないわけで。