君のクイズ

 

クイズ番組でのバトルから派生する謎解き。

誰ひとり死なないミステリ、と言うことである意味異色なのかな?

 

本来あり得ないはずの0秒回答をなしえた原因を探るという構造なんだけど、犯人と探偵が対決している裏で完璧にコントロールしてる上位者がいる構造で、本来対決すべきはそいつなんじゃねとおもってしまった。なんかオンラインサロンでマネタイズするユーチューバーって無駄に露悪すぎじゃないかなあとも。東大理Ⅲなら普通に医者になって真面目に稼いでもユーチューバーより安定しそうじゃない?スポーツ的な興味は無いクイズに対しても第一人者である主人公に認められるくらいの努力はする人なんだし、地道に働くのがダメな人でもないよね。

作中でも不確定要素の高いクイズ対決で生番組として成立させる非凡な才能は語られているわけだし、自分で作問した問題を落とすみたいなのイレギュラーがあってもちょうどラストで劇的勝利になるように誘導できるわけでそういう相手と対決する話にするべきだったのでは。いってもしゃあないけどさ。

お前の彼女は二階で茹で死に

 

はてなブログの貼り付け機能はじめてつかったがめんどくさいな・・・。

 

ミミズなる特殊な被差別階級の人間がいる世界観での特殊ミステリ。

読んでても結構疑問だったんだけど、整形が成功していればほぼ見分けがつかない程度の差異しかないんかね。いやまあ現実の人間だって肌が黒かったり黄色かったりするだけで差別しているわけなんですが。

 

連作短編の構造なので最終話の前までのネタが最後にガッツリまとまって終わるとおもってて、実際そうなるわけなんだけど、実際の所アレ?とは思ってしまった。

 

ノエルとヒコボシって特別な日からつけられた名前ってことで血縁でもあるんかなって思って読んでたので勝手にミスリードされてた側面はある。

 

リチウムが結局弱者男性のノエルなんぞ一顧だにしてなかったってのは無駄に辛辣だけど、まあレイプ野郎だしな!とは思うが、なんだろなそこはともちょっとおもった。

楽園とは探偵の不在なり

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二人以上殺すと即座に「天使」によって地獄に引きずり込まれるというルールがあり、地獄送りは死よりもおそろしいと本能的にわかるため基本的に連続殺人は起こらないという世界観での特殊ミステリ。

 

特殊ミステリって基本的にルールが守られてないと意味がないのでそこから逆算するとそういうシチュエーションで起こる連続殺人ってのはぱっといくつかおもいつくわけなんだけど、真相がその想定のいくつかに引っかかっちゃってるのは残念。もうひとひねり欲しかったというのは贅沢か。

その可能性はすでに考えた

 

その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

 

 孤立した宗教団体で発生した大量殺人・・・というか虐殺を「恋と禁忌の述語論理」にも登場した探偵・上苙丞が解決、と言うかなんというかという話。

恋と禁忌の述語論理と同様の各章で別々の探偵役とメインの探偵である上苙丞が対決するという構成となっております。前作ではそれぞれ別の事件だったのが今回は同一の事件に対して別の仮説を連続で出されてそれを論破する形となっているためより今風な感じと言えるでしょうか。

 

それぞれ提示される個別の仮説とそれに対する反論はそれなりに面白く、最終章の展開自体はそう来るか!と言うようなアイデアでした。面白いのは面白いのだけどバレバレのほうの仕掛けは単なるミスリードというこの作者の悪癖といっても良い仕掛けのせいでイマイチ素直に楽しめませんでした。

 

特に最後のオチというか真相っぽく語られる推理って動機面から考えるとおかしくないですかね。死体の移動は不可能状況にならないといけないけど、殺害そのものは不可能状況にはなってはいけないはずでそれを無視した殺害方法になっているのはなんというか作劇上の都合を超えてトリックの瑕疵といっても良いレベルではないかと思います。

恋と禁忌の述語論理

 

恋と禁忌の述語論理 (講談社文庫)

恋と禁忌の述語論理 (講談社文庫)

 

 最近もドラマ化等で話題の井上真偽のメフィスト賞受賞作。天才数学者が論理学を駆使して、既に解決した事件を「検証」する。

 

入れ替わり立ち替わり突飛な名探偵が現れて、事件を解決するものちに検証されると言う構造は最近よく見る多重解決ですがストーリーの仕組み上当初の解決が誤っているのはほぼ確実なので、推理のポイントとしてはどこが間違っているかを探ると言うことになります。

それを数理論理学を用いて検証していくということなんですが、書いてある数理論理学の説明が理解出来なかったせいでしょうけど、これ数理論理学関係なくない?

終盤の展開については作者の第二作と比べてもよく出来ていると思います。特に主人公の語る事件の詳細を100%信じる根拠みたいなのが素直に飲み込めるようになっているのは良いなとおもいました。

叙述トリック短編集

叙述トリック短編集

叙述トリック短編集

 

 叙述トリック叙述トリックであること自体を明かしてしまってはいけないと言う前提に立ち向かう意欲作。すべての短編に叙述トリックが仕込まれているということを宣言し、なお読者を驚かせられるかという挑戦。

  •  ちゃんと流す神様

トイレのつまりを人知れずなおした神様は誰か・・・と言うお話。

いろいろ考えなければいけない要素が多いということと、露骨なミスリードに引っかかったこともあってまったくわかりませんでした。

わからなかったからいうわけでもないですけど、これなんとなく良い話っぽく落としていますけど、これ推理可能かどうか以前に実行可能ですかね?構造的にちょっと無理なんじゃないかなとか、犯人がそれを実行しなければならないと判断した状況が想定できないとかいろいろ疑問が出る話でした。

当たり前と言えば当たり前ですけど、この作中の事件に該当することって作者たぶんテストとかしてないですよね。

これはさすがにわかった。むしろこれで良いの?と思ったくらい。あと勘違いかもしれないですけど、66ページの記述「僕は四月四日生まれで、妹は三月二十八日」と言うのはこれ逆じゃないですかね?もしミスならこの短編集だと致命的では。

 

  • 閉じられた三人と二人

えっそれだけ?これも推理可能になってるかなあ。

 

  • なんとなく買った本の結末

森博嗣の言うところの「逆トリック」なわけですけど、これもやっぱりトリックとして成立していないのでは。作中のガジェットを使わないでも同様のトリックを実施できるわけですから(該当のガジェットを使用しない同様のトリックを見たことある気がする)、おかしいですよね。

 

  • 貧乏荘の怪事件

最高にくだらないのだけど、これは笑った。

読者への挑戦状のヒント通りにやっていれば必ずわかるというところも好感が持てる。

 

いやこれ不可能でしょ。特別な訓練を受けた人間って設定ならまだしもそういう設定はないわけで。

 

キングスマン

事前に「キックアス」のマシューヴォーン監督作品であることは知っておく必要があるかなと思います。あのノリがダメだった人はダメという結構はっきりした映画だと思うので。

最近スパイアクションの映画ばかり見てしまっているのでどうしても比較してしまうのですが、私自身が「キックアス」そのものは楽しめたけどあのノリにはついていけなかったせいかこれはあんまり楽しめませんでした。

やっぱこういうのってヒーローが格好良くキメないとダメじゃないかなあ。これだと宣伝の傘のアイテムも大口径の銃相手だと普通に貫通されて壊れちゃうんですよね。リアルなんでしょうけど、びっくりしました。

同僚の女エージェントとラブロマンス的な展開がまったくないとか骨っぽいストーリーは良いとはおもうのですが、やっぱ主人公がキングスマンになるところはもっとお涙頂戴で盛り上げるべきだったんじゃ無いかなあ。

あ、人種差別主義者とか卑劣な金持ちはみんな死ねと言う熱い主張をきちんと映像化するのは良かったと思います。邦画だとそのへん中途半端にしちゃうからね。